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4年放置したままで申し訳ありませんでした。
サイト更新はいまだ多忙な日々が続いているため更新はできませんが、サン誕の続きを少しずつでも書いていけたらと思います。 文章を書くことにブランクがありますので修正を繰り返すと思います(汗) 読みづらいかもしれませんがご了承ください。 PR |
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少し前ですが、海賊設定に読みきり1話 『記念日』
そして、先程 『花束をどうぞ』の5話目をUPしました。 とりあえずパラレルから片付けるつもりで書いてますが、相変わらず更新ペースはスローなので思い出したら覗いてみてください(^^;) 拍手パチパチありがとうございます。 とっても嬉しいです(^^) レス返せなくてゴメンナサイorz |
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ちらちらとサンジは落ち着きなく手元のグラスへ、そして窓の外の灯かりへと眼を向けて小さな溜め息を漏らした。
『すまん! 遅れた!』 予定の時間を2時間は軽く越えて最後の人物はオールブルーへと姿を現したのだった。 緑の髪は記憶の中と変わらず短く、けれど記憶より鮮やかなグリーンにサンジは知らず知らず息を飲んだ。 別れてから数年。その間に太陽に向かって伸びていく丘に立つ若木のような緑のイメージだった男は、しなやかに洗練された葉を繁らせた密林のようなイメージに変化していた。健やかな太陽に向かって枝葉を広げていた若木はたった数年で蔦をその身に纏った樹木へと変わったようだった。 「・・・・久しぶりだな」 静かな記憶より低い声のトーンにサンジはピクリと指先を震わせると、ああと小さく返してグラスを引き寄せる。 「あ、その。・・・元気・・だったか?」 「・・・それなりに」 カランとグラスで回る氷の音に続いてゴクリと喉の鳴る音がする。それと同時に己に注がれている視線にサンジはどうしたものかと落ち着きなく手の中のグラスの表面を濡らす雫を指先で拭っては広げるという動作を繰り返す。 待ち合わせ時間に2時間も遅れてきたゾロはたった一言の謝罪の後、まるで何事もなかったかのように自分達と合流してみせた。 実際ゾロの迷子癖は三人の中で認識された事実であり、今更どうといって騒ぐ内容の事でもない。だから、初めからゾロが定刻にその場にくるとは誰も思っては居らず、最悪一人残して解散、という状況も考えてはいたのだ。そしてその場合、当たり前のように最後の一人はサンジになる予定だった。 「ナ、ナミさん、遅いなあ」 ゾロが合流できたのなら、次はもう少し落ち着ける場所に移動しようということになり、夕食を兼ねてサンジが推薦した店の扉を潜った。しっとりとした大人の雰囲気漂う店は高級というほどではないが、和食を中心とした昔ながらの料亭で今日の為にとサンジが選んでおいたお店だった。 その店で二時間ほど、料理とそれぞれの近況報告、懐かしい学生時代の話に花を咲かせ、二次会へと移動する時になり翌日の予定が早朝からというウソップが泣き泣きその場を後にした。後できっと連絡をくれと、多少酒も入っていたウソップからしつこく何度も頼まれていたゾロが苦笑しては約束だと繰り返していた事をサンジも同じように苦笑を浮かべて聞いていたのだ。 その後、二次会としてナミに連れて行かれたのは意外や意外、駅前にある名の通ったホテルの最上階に位置するラウンジだった。数日前からこのホテルに滞在しているのだと笑ったナミは2、3杯、カクテルを空け、着替えてくるとサンジとゾロに告げ、席を外してからすでに30分近く経っている。 元々話すほうではないゾロと二人きりにされて困るということはサンジにはないのだが、それも卒業前の友人関係であった時の話だ。恋人・・・になったのか、なっていないのか、あやふやなまま月日を過ごし、今もまだ目の前の男が好きだと実感するサンジは内心困り果てていた。 実際、今のサンジはゾロに振る話題一つまともに思い浮かばなくてただひたすらにグラスの表面を濡らす雫を指先で拭い取っている。 「ナミなら・・・・」 「ナミさん?」 穴が開くんじゃないかと思うぐらいの視線の持ち主が出した名前にようやく顔を向ける。 「帰ってこねえぞ」 「・・・・・・・・・・・・・え?」 ゆっくりと口角が上がり、薄めの唇から漏れた言葉にサンジは間抜けな声を上げる。 「だから、ナミなら帰って来ねえって言ってんだ」 唇にグラスが押し付けられゴクリと喉仏が上下する。 そのゾロの言葉を頭の中で咀嚼してサンジはゆっくりと瞬きを繰り返した。 「・・・・・ここに泊ってんのは俺だ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 再度間抜けな声を漏らしたサンジをおかしげに笑ったゾロが眼を細めて笑う。その見たことのない艶のある笑い方に思わず見惚れてしまったサンジは、静かに立ち上がったゾロから手渡された鍵を何の疑問も抱かずに受け取った。 伝票にルームナンバーを記入してエレベーターに乗り込んだゾロを追い、サンジはゆっくりと点滅を繰り返すプレートを眺める。 「・・・くるか?」 「ああ・・・・」 チンという金属音と静かに開かれた扉に目を向けたまま問いかけてきたゾロの背を追って、サンジもその階へと降り立つ。 「こっちだ」 チラリと手にしている鍵Noを確認しサンジは柔らかな絨毯を踏みしめて静かに歩き出したのだった。 ~続く~ |
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「ヨホホホホ、どうでしたか?」
「あー、いいんじゃねえのか?」 バイオリンを降ろして問いかけてきたブルックにゾロは微妙な表情で感想を述べた。 芝生に寝転んで気持ちよく眠っていた所を起こされてなにやら真剣な顔(だろうと思われる)で、曲を作ったので聞いて欲しいと頼まれたのだ。何故自分に聞かせるのかと疑問に思ったものも、ブルックの真面目な雰囲気に言い出せず、ゾロは結局ブルックが曲を終えるまで静かにその曲に耳を傾けることになったのだった。 「気に入っていただけて良かったです」 「は?」 「では、私はこれで~」 「あ? おい?!」 ヨホホと特徴的な笑い声を残してヒョイヒョイと身軽に船内へと消えていった後姿にゾロは眉を顰め、はあっと大きな溜め息を零した。 「ああいうのはナミとかロビン向きだな」 胸焼けがしそうだとはさすがにブルックの手前、口にしなかったが、聞いて欲しいといってゾロの目の前で演奏された曲は甘ったるくとてもじゃないが自分向きの音楽だとは思えないものだった。まあ、ナミやロビンに聞かせるのならきっと喜んでもらえるだろうと結論づけてゾロはポリポリと後頭部を掻いた。すっかり眠気も失せてしまいキッチンに酒でも貰いに行くかとゾロは一つ息を吐き出してその場に立ち上がった。 「ゾロ!!」 「おう?」 ゆっくりと体を伸ばしながら手に刀を下げた時、甲高いチョッパーの声に名前を呼ばれゾロは顔を上げ、そしてかすかに眉を顰めた。 「ゾロ・・・」 「・・・二人揃ってなんだ?」 先程のブルックとは違い、どこか思いつめたような暗い空気の二人にゾロは表情を引き締めた。 「・・・悪い、ゾロ」 「は?」 「なんとか頑張ってみたんだけどよ、俺にはあれが精一杯だ」 「はあ?」 「俺も、頑張ったんだけど」 「は? 何を頑張ったって?」 「「ゾロ!!」」 ウルウルと涙を湛えたチョッパーの黒い瞳と、哀れみを誘うような風情のウソップにゾロはパチパチと瞬きを繰り返す。 「「ゴメン!!」」 大きな二人の謝罪らしき声に目を丸くして、その内容を問いかけるより早く二人の姿は船内へと消えて行く。 「・・・・なんだったんだ・・・?」 右左と首を傾げてゾロは小さく呟くと当初の目的どおり、キッチンへと向かって歩き始める。 アクアリウムバーに降りれば自由に飲める酒が常備してあるのだが、誰もが気軽に飲めるようにと置いてあるそれらは軽くゾロの好みではない。皆とワイワイ騒ぎながら飲むのならいざ知らず気分転換で飲むならキッチンにある、サンジ保管のゾロ向けの酒でなければ意味がないだろう。 ゴトゴトとブーツの底を鳴らしながら階段を上り、キッチンの扉を開こうとした瞬間、その扉は中から開かれた。 「おっと!」 咄嗟に開くドアから飛び下がったゾロの目の前でドアの取っ手に手を掛けたままフランキーが驚いたような声をあげる。 「おう、悪かったな、当たらなかったか?」 「ああ」 勢いよく開かれた扉だが、それに当たる様なお粗末な運動神経は持ち合わせていないとゾロは苦笑を浮かべた。 「あー、兄ちゃん、此処に用事か?」 扉に手を掛けたまま、それ以上開くでもなく問いかけてきたフランキーにゾロは軽く眉を寄せた。 「用・・・、いや、喉が渇いた・・・と」 まさかサンジに酒を強請りにいくのだとは言えず曖昧に言葉を濁したゾロにフランキーがグッと親指を立ててみせた。 「よし、オレ様取って置きを出してやる!」 ニヤリとサングラスをその指先で上げてみせたフランキーはゾロが返事をするより先に、後ろ手にその扉を閉めてしまった。 「おい?」 「・・・・どうした? コックの兄ちゃんにやっぱり用事か?」 不審げなゾロの声にニヤリとからかうような笑いを向けられて、思わず渋面になったままゾロはフランキーの後ろを追って歩き出す。 フランキー工房までの行程で擦れ違ったロビンに意味深に笑われ、ナミにどこか楽しそうに笑顔を向けられ、いったい何だとゾロは首を傾げる。 「・・・・なにかあったか?・・」 ホラよと、陽気に酒瓶を手渡してきたフランキーに問いかけるでもなく呟けば、またしてもニヤニヤと意味ありげに笑われる。 「まあ、楽しみは最後まで取っておくもんだぜ」 ゾロの問い掛けにもっともらしく答えたフランキーから瓶を奪うと、ゾロはその場を後に船長の下へと向かった。 「楽しみだな~ゾロ!!」 「おう、そうだな」 定位置で麦わら帽子を片手で押さえながら満面の笑みで告げてきたルフィに、ゾロはとりあえずそう答えて、その傍らでどこか甘ったるく感じる酒をのんびりと煽ったのだった。 その疑問はそれから数時間後、サニー号の甲板で開かれた宴、その賑やかな歓声で打ち消されることとなった。 『誕生日、おめでとうサンジ!!』 はにかんだように笑うサンジと楽しげなクルーの笑い声に、ゾロも機嫌よくジョッキを掲げたのだった。 ・・・・しかし・・・・・ 「・・・・・・・・」 「あー、あいつらなりのプレゼントってやつじゃねえの?」 甲板から聞こえる甘ったるいバイオリンの音。 どこから調達してきたのかピンクに紫に変わる照明器具に、何故かキラキラと輝くミラーボール。 ベッド脇にある小さなテーブルの上にはピンクのリボンの掛けられたシャンパンとグラスが2つ。 そして部屋の中央に設置された男二人でも十分余裕があるだろうと思われるキングサイズのベッド・・・と、枕の上に置かれた黒にメタリックな性生活必需品。 「・・・・・・・・・どうしろと」 目の前にあるとんでもない代物に目を据わらせたゾロと、甘いムードもヤル気もすっかり吹き飛んだサンジが目尻に涙を浮かべて爆笑する。 「まあ・・・あいつらの気持ちだし。・・・・・・・とりあえず、まあ、寝るか?」 船の上、手足を伸ばしてゆったりと寝れる経験など皆無と言ってもいいだろう。 ふかふかのスプリングの効いたベッドに罪はないだろうと、互いに顔を見あわせて笑いながら布団に潜る。 「コック、おめでとう」 「おう」 手を繋ぐでもなく、抱き合うでもなく、ただ同じベッドに入って眠ることになった夜にゾロは笑うと、小さな子供にするようにそっとそっとサンジの金の頭を優しく撫でてやったのだった。 ~END~ |
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